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裏窓

ローカル駅の駅前繁華街で、俺は生まれ育った。パチンコ屋の前のバラックで。
隣りは居酒屋、裏は雀荘とピンサロ、同じ建物にキャバレー。

外国人パブや、怪しい二階のあるスナックが軒を連ねていた。
そんな街のド真ん中で、両親は水商売に関連した仕事をして生計を立てていた。

朝から深夜まで、パチンコ屋は大音量の歌謡曲をかけ、
キャバレーが呼び出しの音を響かせ、
今のような防音設備のない中でカラオケをかけてる店もあった。

深夜には刃物を振りまわしながらの大ゲンカや、酔っ払いだらけ。
だから、周辺に血やゲロがついた路面がある風景は普通の日常だった。
繁華街の喧騒は、俺の子守唄だったんだ。

俺の家には裏窓があり、そこからのぞくと
ピンサロやキャバレー、外国人パブ、雀荘の裏口が見えた。

そんな街の幼稚園に行ってたから、キャバレーでは
友達のお母さんが働いてたりした。

ある時、スケスケの衣装でパンツまで見えちゃう恰好の女性が
裏口で泣いていた。友達のお母さんだった。。。ほどなく彼は幼稚園に来なくなった。
先生曰く、母方の田舎に帰ったとか・・・・そんなエピソードがよくあった。

今は綺麗になったその街の、当時の出来事は、俺の人格形成の基だと思う。

30 裏窓

裏窓を覗くと、ホステスのお姉さんたちがいて、
俺はたくさん可愛がってもらった。

裏窓から見えるのは、涙が多かった。
マスターの怒号もよく聞こえた。

俺はこんな男になりたいな・・・ということよりも、
こんな男になど絶対にならん!と思える出来事ばかりだった。

反面教師が、俺を作ったのだと思う。
だからか、ちょっと極端なところがあるんだな。自分でも自覚してます。

裏窓から見えるのは、人の涙や怒り。笑顔もたまには見えたけどね。


Body&Soul 

ビリーホリデイは大好きだ。


あの頃、幼稚園生が強烈に想ったこと。
人はどうしたら幸福感を持って人生を過ごせるのか?
それを追及できる人間でいたいもんだ。

※ このストーリーはフィクション・・・かもしれません。
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